せかい
とてもとても遠いところから
君の訃報が届いた
時刻表を確認することもなく
僕は一番最初にやってきた列車に乗る
いったいどれだけ乗り継げば
君の場所に行けるんだろう
君の生きていた場所に
君の生きていけなかった場所に
かつて
「きみ」と「せかい」とが
同じ質量をもっていた時があった
どんなに列車を乗り継いでも
たどり着けないところがあると
僕らは知りたくなかった
夜、戦争は静かに
夜、戦争は静かに始まる
町のいたるところで
戦闘が繰り広げられる
寝ている人を起こさないように
兵士たちは銃を撃つ
戦車は音をたてずに街路を走行し
飛行機は何かを包み込むように
静かな空爆をする
夜明けまで戦いは続き
その間、町はただひっそりとしている
翌朝、役場の掲示板には
昨晩の結果が几帳面な文字で記される
戦死者0人
負傷者3人
その隣の少し暖かいところで
戦争反対
というプラカードを持った人々が
笑いながら話をしている
どこかで聞いたことのある声で小鳥がさえずり
誰もが春だと思う