| お祭りの楽しみ方 こんにちは。ツユサキです。インターネットで読める詩、詩人についてたのしく語れたらいいなとおもいます。今回もどうぞよろしく! さて、インターネットの詩に興味がある方ならもうご存知かもしれませんが、第2回グラチャンの結果が発表されましたね!前回にもご紹介しましたが、グラチャンとは「第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦」のことです。「文学極道」と携帯端末向け月刊詩誌「月刊 未詳24」が共同で企画しているコンテストで、インターネットにおける詩の大きなコンテストと言えば現在このグラチャンぐらいしかありません。 今回はその第2回グラチャンから、グランド・チャンピオンと優秀作品賞の作品をレビューしたいとおもいます。コンテストの楽しみ方はいろいろあると思いますが、やっぱり結果について、ああでもない、こうでもないと話をするのが楽しかったりするものですよね。わたしのレビューに「いや、おまえは何もわかってない!」「それに関しては同意!」なんてつっこみ入れつつ読んでもらえると嬉しいです。 それではいってみましょう! recitativo / 浅井康浩 この作品のストロングポイントは何といっても素人には真似できないその超精巧な筆力にあるでしょう。詩を読んだときの第一印象には2パターンあって「これは自分にも書けそう」と「これ、おれ、書けない」という2つがあります。どちらが良いというのはないですが、(書けそうに思えて、よくよく読むとこの発想や工夫は自分にはできなかった!なんてこともある。)本作は圧倒的に後者。精彩な描写もそうですが、大航海時代の歴史的な叙述は知識が豊かでないと書けないものだとおもいます。歴史的叙述と男女の話が交互に登場するシンプルな構成も相まって、スマートな存在感のある作品でした。 ただ逆に言うと、敷居が高いとも言えてダメ大学生のぼくなんかが読むと、「うーん、なんかすごそう」と頭のわるい言葉しかでてこず、人を選ぶ作品と言えるのではないでしょうか。この作品の良い読者になれず残念。たとえば、登場する固有名詞が全部妄想で、事細かに設定があったりとか、そういう遊びがあったら、もう少し踏み込めた気はします。 みさき / る こわいよ〜。実話風オカルト詩といった内容で、詩を読んだことのない人も怖がられるような工夫がされてある。普通だとすべってしまいそうな画像の使用なんかも、これだけサービスしてもらえるとお腹いっぱいになれるし満足感がありました。「recitativo」でもそうですが、下調べがしっかりしている作品というのはそれだけで読み応えが違ってきますね。作者の他作品はどういうものを書いているのかなという興味もそそられて、魅力のはっきりした作品だとおもいます。 気になるところを言うと、「小説か詩か」という部分。わたしはあまりそういうラベリングにこだわるほうではないのですが、これって一本の小説として書いたほうがじつはもっと面白くなるのではとは感じました。言葉を多く割いて色んなエピソードを加える余地があるように思うし、一冊の本としてあったらぜひ読みたい。あと個人的な好みを付け加えると、実話っぽさがもうすこしあったらと思いました。やっぱり人間が一番こわい!なんて結末、いいじゃないですか。 Fall / ひろかわ文緒 「わたしとあなた」をオーソドックスなスタイルで語る詩らしい詩。印象的なフレーズがたくさんあって、短いけれど読んでいて気持ちのよい作品でした。「つめたく 落ちる雨の しずくばかりを祈っていた」なんて切ない!と思うし、それまでの主観サイドから最終連の俯瞰に切り替わるところが好きでした。欲を言うと、小品としてまとまりすぎていて(そこが良いところでもあるのですが)、破壊力に不足を感じた点を挙げておきたい。どこかで読者を深くえぐる鋭さがあってもいいと感じました。 里帰り / 葉桜彰 タイトル通りの里帰りの詩。ストレートに主題の見える素直さに、ひじょうに好感をもちました。こういう生活のある部分を切り取って表現する詩というのは、ありきたりになりがちだし、「それは知ってるなぁ」と思うことが多いので難しい分野だと思いますが、本作に関してはそんなストレスとは無縁でした。書けそうで書けない詩の良い例だと思います。「里帰り」という言葉はその言葉だけで、すでにイメージを持ちすぎていて、詩にすればするほどくどくなるものですが、作者にしか発見できない適切なバランスを保っていると感じました。よかったです。 ワンダーランド / 柳明太 真っ向勝負なポエムでたのしく読めました。感覚的に詩というよりポエムと呼びたい。そういう愛しさが本作にはあると思います。夢や少女を何度も登場させたり、宇宙や星座、ワンダーランドなんて言葉をチョイスしたり、普通なら抑えてしまうようなところをためらわずに使う。その姿勢がすてきだし、勢い任せのようでいてぎりぎりアリなラインで踏みとどまっているとおもう。細部で気になる部分も多くあるのですが、それをいちいち指摘したりする気が起きないのが、この作品の最大の魅力。「せんせい、 みんなしらないひとです。」のフレーズ、いいですね。 わたしの悪夢 / 吉田群青 それは悪夢だわ。とおもわずつぶやいちゃう、そのリアルな手触りはなんなのか。たいてい人の夢の話を聞いたって、あんまり面白くないものだけど、本作の夢は続きが気になるものになっていておもしろい。おそらく興味を持って読み進められるのは、語りが主観ではなく俯瞰的になっているからだとおもう。夢の突き放し方が絶妙なおかげで、起こっている夢自体を冷静に吟味できる。そしてその夢の3つのエピソードに力があるから面白い。夢の語り方の1つの発明なんじゃないでしょうか。しかし、「わたしは体内でその人がまばたきするのを感じている」なんて気持ちわるいこと(ほめ言葉です!)をよく考えられるとおもった(笑)。 *本当は全作レビューを試みたのですが、さすがに無理があって断念。 *レビューブログのほうに余力があれば追加したいとおもいます。 *URL http://sundayworks.blog.shinobi.jp/ |